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「糖質は必須栄養素じゃないから必要ない!」の嘘

Noodles

 

糖質は人間に不要!って説についてご質問をいただきました。

 

糖質制限ダイエットのサイトを見ていると、「糖質は必須栄養素ではない」という意見をよく見かけます。必須アミノ酸はあっても必須糖質はないから、糖質は不要な栄養素だというのです。

パレオさんは糖質制限には中立の立場だと思いますが、この意見に対してはどうお考えでしょうか?

 

とのこと。恥ずかしながらこの主張を知らなかったんですが、「必須 糖質」で検索したら山ほどヒットして驚きました。

 

 

代表的な意見を引用すると、

 

タンパク質には必須アミノ酸があります。また、脂肪には必須脂肪酸という、人間にとって体内で作ることができない物質があります。それに対して、糖質には「必須糖質」というものがありません

 

実際、国際食事エネルギーコンサルテーショングループの報告では「炭水化物の理論的な最小必要量はゼロである」とされています。また、アメリカの食事摂取基準にも、「炭水化物の必要最小量はゼロである」との記載があります。このように、糖質が必須ではないのは世界中の栄養学者にとって常識です。

参照:http://kenko-jouhou.com/diet/toushitu.html

 

みたいな感じ。ざっくりまとめると、

 

  1. アミノ酸や脂肪は食事からとらなきゃいけない
  2. でも糖質は体が作ってくれる
  3. つまり糖質はいらない!

 

って理屈のようですね。必須糖質が存在しないんだから、人間にとって糖質が不要なのは当たり前なんだ、と。

 



 

 

で、結論から言っちゃうと、これは単なる「言葉遊び」ではないかと。人間が炭水化物なしでも活動できるのは確かですが、この事実は、逆に糖質の重要性を意味しているんですよ。

 

 

そもそもヒトの細胞は糖質がないと働かないため、初期の人類が根菜やフルーツから大量の炭水化物をとっていたのは有名な話。体内から少しでも糖質が切れると人体は満足に動けないので、進化の過程でさまざまなセーフティーネットができてきたわけですね。

 

 

その代表例が糖新生です。糖質を極端に減らすとストレスホルモンが分泌され、同時に筋肉の分解がスタート。タンパク質をアミノ酸に変換し、肝臓で糖質を作り出す仕組みになっております。

 

 

が、この状態は、あくまでも人体にとってはセーフティーネット。長く使い続ければコルチゾールや甲状腺ホルモンなどのバランスが崩れ、さまざまな害を引き起こすことがわかっております。具体的には、

 

 

 などをご参照ください。つまり、人体は糖質なしでも動くから糖質は不要なんじゃなくて、糖質が超大事だからこそ人体は糖質なしでも動けるシステムを作り出したんですよ。論理が逆なんです。

 

 

ちなみに、上で引用した記事にあった「炭水化物の理論的な最小必要量はゼロである」って話ですが、これはいずれも「食事から糖質をとらなくても体がなんとかしてくれるよ〜」って事実を述べてるだけです。糖質をとらなくても健康で元気に暮らせるとは一言も言ってませんのでご注意ください。実際、2015年版のアメリカ食事摂取基準(1)では、1日に130gの糖質が推奨されてますしね。

 

 

「必須」という単語を見ると、ついタンパク質や脂肪のほうが大事そうに思っちゃいますが、実際は三大栄養素の重要性に優劣はなし量よりも質に気を配って、しっかりと糖質をとっていただければと思います。

  


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