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心理学的に正しい「衝動買い」を抑えるテクニック

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もう年末!ということで、何かと物入りな時期ですけども、近ごろノースイースタン大学から出た論文(1)によれば、「感謝の気持ち」には衝動買いを抑える効果があるらしい。

  

というと、なんか安っぽい話のようですが、以前に「感謝の気持ちが貯金を増やす」なんて話もあったとおり、近ごろの心理学界では、感謝が金銭感覚に与える影響がよく調べられているんですね。

 

 

実験は75人の学生を対象にしたもので、彼らを3つのグループにわけたうえで、それぞれ以下の作業をしてもらったんですね。

 

  • 過去に起きた普通の1日を書き出す
  • 過去に起きた幸福な出来事を書き出す
  • 過去に起きた感謝したいことを書き出す

 

その後、被験者たちに「いま千円をもらうのと、1年後に1万円をもらうのでは、どちらがいい?」といった質問をしまして、実際にその金額を支払ったんですな。人間の心理には、基本的に未来の大金より目の前の小銭に飛びつきやすい傾向があるんですが、今回の実験では、各グループの金銭感覚に以下のような違いが出たらしい。

 

  1. 普通の1日を書いたグループ:1年後の1万円を目の前の1,700円と同額に感じた
  2. 幸福を書いたグループ:1年後の1万円を目の前の1,800円と同額に感じた
  3. 感謝を書いたグループ:1年後の1万円を目の前の3,000円と同額に感じた

 

ちょっと分かりにくいですが、たとえば「普通の1日を書いたグループ」だったら、「いま1,700円をもらえるなら、1年後の1万円はいりません!」と平均して答えたってことですね。まぁ、どのグループも目先の金に負けたのは同じですが、それでも「感謝を書いたグループ」だけは、あきらかに目先の欲望をガマンする能力が上がっております。

 

 

研究者によれば、感謝の気持ちには短期的な利益よりも長期的なメリットに目を向けさせる作用があり、そのおかげで目先の欲望に対する忍耐力がアップするんだそうな。「感謝の気持ちが貯金を増やす」では、「感謝はセルフコントロール能力をアップさせるけど、その理由はわからないよ〜」って話だったんですが、どうも長期的な視点を与えてくれるのが原因みたいっすね。

 

 

そんなわけで、今後ムダ使いをしそうになったら、意志の力に頼るんじゃなくて、いま自分が持ってるものに感謝してみるといいかも。わたしも、Amazonの「ほしい物リスト」に登録した大量の商品をながめつつ、この心理テクを試してみようかと思います(笑)

 

 

credit: David Blackwell. via FindCC


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。