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甘いもの対策に最適と噂のサプリ「シュガーバン」は買いなのかどうなのか

Sugar

 

ダイエット系サプリに関するご質問をいただきました。

 

彼女とのデートや外食で甘いものを食べざるをえないので、シュガーバンというアイハーブで流行のサプリを買おうか迷っています。 単糖類系にはシュガーバンで良いですか?

 

とのこと。まったく初耳のサプリだったんですが、確かにiHerbで「甘いもの対策のサプリ」として人気が高いっぽい。知らなかったなぁ。

 

 

 

シュガーバンには何が入っているのか?

で、こいつに何が入ってるかと言いますと、

 

  • ギムネマシルベスタ:味覚に作用して甘いものを甘いと感じさせなくする&糖質の吸収をブロックする
  • クロム:インスリンの働きを高めて糖質の代謝を正常にする
  • グレープフルーツペクチン複合体:食物繊維の一種で、血糖値の上昇をおさえる

 

みたいな感じです。ほかにもいろいろ入ってますが、糖質に直に関わるのはこんなとこですね。

 

 

ギムネマシルベスタはどこまで有効か?

でもって、ざっくりとした結論を言うと、どうもデータが限定的でなんとも言えないんですよねぇ。たとえば、ギムネマシルベスタの話から申しますと、

 

  • ダイエット効果を確かめたのがラットを対象にした実験しかない:いちおう8週間ほどギムネマシルベスタを飲んだラットは体重と食欲が減った(1)らしいんですが、これだけだとなんとも言えない感じ。

 

  • 糖質ブロック効果もラット実験しかない:韓国の実験(2)では、食後のラットを調べたところ、糖の吸収量が有意に減ってたりします。まぁヒトとラットの腸にギムネマが与える影響はかなり近いんで、こちらは信じても良さげですが。

 

  • ヒトを対象にした実験では食欲の低下が確認されている:1983年の実験(3)では、ノーマル体重の参加者にギムネマを飲んでもらったところ、飲んでない人に比べて食欲が低下し、食事の量も減ったとのこと。

 

って感じなんですよ。確かに、私もギムネマで食欲は減る経験をしてはいるものの、これだけだとなんとも言えないところです。糖質の甘みを抑える効果があるのは間違いないんで、そのためだけに使うなら良いかと思いますが。

 

 

クロムは糖代謝に欠かせないミネラルですが……

もうひとつのクロムは必須ミネラルの一種で、健康的に暮らすためには必須の成分。糖質の問題についてはどうかと言いますと、

 

  • 2013年のメタ分析(4)だと、「クロムで糖の代謝が良くなったよ!」との結論。ただし、糖尿病の患者さんだけが対象なので、それ以外の人にはどうだかは不明。ついでに代謝の改善レベルもややしょぼい

 

  • 2010年に高齢者を対象にした実験では、1日 1,000mcgのクロムを飲んでもらったものの、12週間が過ぎても糖代謝は改善されなかった(5)。

 

といったところです。それなりに効くような気もしますが、もともと糖代謝が正常な人の場合はどうなのかなー、みたいな感じですね。あまり糖質対策には期待できなそう。

 

 

フルーツペクチンの研究例は少なくてどうにも

でもって、最後のグレープフルーツペクチンですが、これまた現時点ではマウス実験がメインだったりします。

 

  • マウスにシトラス系ペクチンやグルコマンナンをあげたら当代謝が改善した(2018年,6)
  • 糖尿ぎみのラットにグレープフルーツペクチンを飲ませたら糖耐性が改善した(2016年,7)

 

いちおう良い成績は出てるものの、これだけだと何とも言えないんですよねぇ。まぁ他のタイプのペクチン(リンゴペクチンとか)はヒトでもナイスな結果が出てたりしますし、そもそも食物繊維が糖の吸収をゆるやかにするのは確実なんで、おそらくグレープフルーツペクチンでもいけそうではありますが。

 

 

まとめ

以上の話をふまえた上で、個人的な雑感を申し上げますと、

 

  • ギムネマシルベスタだけのサプリ+食物繊維系を買ったほうが安くていいような気もする

 

って気もしております。なんか、あまりギムネマ以外の成分にそこまでのメリットが見出せないような感じなんですよねぇ。もちろん、すでに糖代謝に問題がある人なら有用なのかもですが、そういう人はそもそも甘いものを食べないほうがいいですからねぇ。

 

 

ってことで、適当に何かギムネマシルベスタを買って、ついでに水溶性の食物繊維を合わせ飲んでおくのがコスパ的にはいいのかなーと思う次第です。どうぞよしなに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。