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「オレってほめられて伸びるタイプなんだよねー」が真実なのはどんな人間か?問題

Praise

 

 本当にほめられて伸びる人の条件とは?

よく「オレはほめられて伸びるタイプなんだ」とか自称する人がいるわけです。この手の発言については、たんに批判が嫌いなだけのパターンもあれば、本当にしかられてモチベーションがだだ下がりするケースもあったりして難しいもんです。

 

 

俗説としては、ほめられて伸びるのは天才型だとか、逆に叱られて伸びるのはマジメ型だとか、いかにも怪しげな考え方もあるわけですが、実際はどんなもんでしょうか?

 

 

ってところで参考になったのがシカゴ大学の論文(1)であります。5つの実験をとおして「本当にほめられて伸びるのはどんな人か?」って問題を深掘りしてくれてるんですな。

 



 

 

初心者ほどほめられて伸びる

たとえば、ひとつめの実験デザインはこんな感じ。

 

  1. 87人の学生にフランス語の授業を受けてもらう
  2. 半数の学生には、うまく問題を解けたときにほめる(ポジティブフィードバック)
  3. 残りの学生には、問題をミスしたときに注意する(ネガティブフィードバック)

 

そのうえで再テストなどを行い、成績が伸びた人の特徴を探ったんですね。

 

 

で、どんなことがわかったかと言いますと、

 

  • 自分を初心者だと思ってる人はほめられて伸びる!

 

ってことです。フランス語が苦手な人ほどポジティブなフィードバックを好み、その後で成績が伸びる傾向が高かったらしい。グラフで見てみるとこんな感じです。

 

Feedback

というわけで、初心者は「ほめ言葉」でモチベーションが上がり、逆に上級者は「批判」でやる気が上がる傾向がハッキリ出てますねー。

 

 

ここで大事なのは「主観的な専門性」で、実際の能力とは相関しないとこ。この実験の例でいえば、本人が「自分はフランス語は苦手だ…」と思ってる人ほどほめられて伸びる可能性は高く、現実的にフランス語ができるかどうかは関係がないんですな。おもしろいもんですねぇ。

 

 

コミットメントが低いとほめられて伸びる

が、ほめられて伸びる人の特徴はこれだけではありません。この論文で引用されている2008年の実験(2)では、もうひとつ別のポイントも指摘されておりました。

 

 

こちらの実験デザインは、

 

  1. 81人の男女に単語の並べ替えタスクを指示する
  2. 進行状況に応じて、半分の参加者には「まだ8割も残ってますね」と言う(ネガティブフィードバック)
  3. 上と同じ進行状況で、残りの半分には「もう2割もやったんですね」と言う(ポジティブフィードバック)

 

みたいな感じです。同じような進行状況なのに、フィードバックの仕方を変えたらどうなるかを見たわけっすね。

 

 

で、こちらの実験ではなにがわかったかと言いますと、

 

  • 目標へのコミットメントが低い人はほめられて伸びる!

 

だったんですな。コミットメントってのは、その目標に対して「価値がある!」と思ってるかや、深い責任感を抱いてるかどうか、みたいな感じです。つまり、目の前の作業に対してあんま乗り気じゃない人ほど、ほめられたほうがモチベーションは上がるわけっすね。

 

 

ざっくりまとめると、

 

  • 目標へのコミットメントが強い人=ネガティブフィードバックでやる気が上がる、ポジティブフィードバックでやる気が下がる
  •  目標へのコミットメントが弱い人=ネガティブフィードバックでやる気が下がる、ポジティブフィードバックでやる気が上がる

 

 って感じですね。ややこしいもんですなぁ。

 

 

まとめ

ってことで、これまでの話をまとめると、

 

  • ほめられて伸びる人は……
    • 作業に対して自信がない!
    • 目標に価値観を持ってない!

 

ってことですな。そう考えると、やっぱ新入社員なんかはほめて伸ばす戦略のほうがいいんでしょうね(本人が「自分はエキスパートだ!」と思いこんでたら逆効果ですが)。なかなか難しいもんです。

 

 

ちなみに、科学的に正しいほめ方については「報われやすい努力の仕方は存在する」に書いてますんで、こちらも合わせてご参照ください。

 


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