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嗅覚、孤独、骨折…ヒトの死亡率を激しく左右する5つの要素が新たに特定された件

Virsionup 

人間にとって真に健康な状態とはなにか?

骨折したり嗅覚が鈍くなったりすると、人間の死亡率は一気に高くなる!」(1)ってデータがおもしろかったんでメモ。

 

 

これはシカゴ大学のリサーチで、57〜85才の男女3000名の健康データを使ったもの。「健康の包括モデル」っていう新たな基準を作って、「人間にとって真に健康な状態とはなにか?」って問題について調べ直したんですね。

 

 

「包括モデル」は、昔から使われてきた健康の基準に、主観的な幸福度や身体を動かす能力といった要素を加えたモノサシであります。要するに、いままでは個人の健康レベルを判断するために、

 

  • 血圧は正常化?
  • 心疾患の兆候はないか?
  • コレステロール値は低いか?
  • 糖尿病リスクを抱えてないか?

 

みたいな材料を使ってきたんだけど、これだと「それって単に『病気じゃない』ってだけで、本当に健康なわけじゃないんじゃない?」って疑問が出てくるわけです。

 

 

そこで研究者は、従来のモノサシにくわえて、「主観的な幸福度」や「五感の変化」といった要素をくわえて全員の死亡時期とくらべなおしたんですね。

 



人間の死亡率を左右する5つの重要な要素

すると、以下の5つが「人間の死亡率と関連する重要な要素」として浮かび上がってきたんだとか。

 

  • 骨折:不思議なもんで、45才以降に骨を折ると、その後数年の死亡率が14%も高まり、健康状態も激しく悪化するケースが多いんだそうな。なぜ骨折がそこまで死亡率と関連しているのかは不明とのこと。
  • 嗅覚の鈍化:匂いをかぐ能力が下がると、やはり後年に体を壊しやすい傾向があったそうな。どうも、嗅覚はつねに脳へ重要な情報を送る役割を果たしており、このセンサーが鈍ると全身に影響が出てきちゃうみたい。
  • 不眠:これはわかりやすいですね。熟年期に不眠が続くと、それから数年の死亡率が19%ほどたかまるとのこと。不眠そのものが体に悪いのはもちろんですが、ストレスや体内の炎症を示すサインでもありますし。
  • 歩数:とにかく日ごろから歩いてないと、やっぱり死亡率と体を壊すリスクは激増。これは、肥満や糖尿病、高血圧と同じぐらいのリスク要因だそうな。やっぱNEATを増やすのは健康対策の第一要因になりそう。

 

 というわけで、歩数や睡眠や孤独は「やっぱりな!」って感じでしたが、骨折と嗅覚に関しては「へー」と思いました。従来の基準だと全体の3分の2は「健康」と判断されるんだけど、新たな包括モデルを使うと、真に健康な人は半分以下だったらしい。

 

 

研究者いわく、

 

新たな健康の包括モデルは、従来の医学モデルからは除外されてきた要素に光を当てた。

 

高血圧やコレステロール値の改善といった病気治療が中心のアプローチから、幸福感などをふくめた全体的な健康レベルを高める対策が必要だろう。

 

とのこと。たんに「病気じゃない」状態じゃなくて、全体的な心身のバージョンアップを目指すのは「パレオダイエット」と同じ発想かと思います。つい先日も「カリフォリニア大学式 人生改善プログラム」なんて実験がありましたけど、似たような流れがいろいろ出てきてますねー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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