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2015年現在におけるマインドフルネス瞑想の正味な実力とは?

Burainmeditate

当ブログで何度も取り上げているマインドフルネス瞑想。しかし、その効果にはまだ賛否がありまして、「瞑想は万能薬だ!」みたいな論調があるいっぽうで、「副作用も大きい!」って意見が出てきたりして悩ましいところです。


というところで参考になるのが、ジョンズ・ホプキンス大学から出た論文(1)であります。過去に行われた約20,000件の瞑想実験から、信頼度の高い47件だけを選別。そのうえで、およそ3,500人分のデータを精査して、瞑想の本当の実力を調べあげたんですね。おそらく、現時点ではもっとも正確でバランスが取れた瞑想レビューになっているかと思われます。


この論文でチェックしたのは、大きく以下の3つの問題について。

  • 瞑想がストレス系の悩みに効くかどうか:不安、鬱、ストレス、気分の落ち込み、QOL(人生の質)、慢性痛、肥満は改善するのか?
  • 瞑想は悪い習慣の改善に効くかどうか:薬物の乱用、乱れた食習慣の改善、睡眠の質などは改善するのか?
  • 瞑想は注意力の改善に効くかどうか;本当に瞑想で集中力はアップするのか?

そも結果はと言いますと、

  • そこそこの効果が認められたもの:不安、鬱、慢性痛
  • 効果はあるかもしれないなーぐらいのレベル:ストレス解消、QOL(人生の質)の向上
  • 科学的な証拠がまだ不足してるもの:気分の改善、肥満解消、薬物乱用、食習慣の改善、睡眠の質、集中力アップ

といったところ。意外と「ストレス解消」の証拠レベルが低くてビックリ。「集中力アップ」もまだデータ不足な段階なんですねぇ。


というわけで、現時点で科学的に「マインドフルネス瞑想が効く!」とハッキリ言えそうなのは、とりあえず不安・うつ・慢性痛だけ。この3つに関しては薬物治療と同じレベルの効果があるうえに、副作用もまったく認められなかったそうな。ちなみに、不安やうつの対策使う場合は、1日に30〜40分の瞑想を8週間は行う必要があるとのこと。


また、今回の研究では、グーグル社が目的にしている自己認識力とセルフコントロール力の向上」についてはノータッチなんで、今後はそのあたりも調べてほしいところ。「瞑想で共感力があがる!」なんて主張もありますしね。


いずれにせよ、マインドフルネス瞑想が不安とうつに効くのは間違いなさげなんで、生まれつき不安症が多い日本人としては、やっぱ日ごろのルーチンに取り入れたほうがいいんかなーと思う次第です。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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