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成功するためにもっとも大事な要素?かもしれない「グリット」のお話

Grit

ここんとこライトな心理学書を読んでると、よく“成功の第一ポイント”として出てくるのが「グリット」であります。

グリットってなんだ?
グリットは、辞書を引くと「やる気」や「根性」みたいな定義なんですが、心理学の用語としては「忍耐力」「意志力」「やり抜く力」「長期的な目標へ向かう情熱」なんて意味もふくんでまして、ビシッとくる日本語がないのが悩ましいところ。


わたしが読んだなかでは、「成功する子 失敗する子」「モチベーション3.0」「究極の鍛錬」なんかで激賞されてまして、いずれの本でも「成功のために知性や創造性はさほど必要はない!本当に大事なのはグリットだ!」って視点が強調されております。


で、この考え方のネタ元になってるのが、2007年の論文(1)。学生や陸軍学校の生徒を対象にグリットの有効性を調べまくった研究でして、研究者いわく、

専門職で成果を残すためには、知性の高さが重要だ。しかし、成功のためには、もっと必要な能力があることは知られていない。われわれは、その大事な能力の1つである「グリット」について調査した。

グリットとは、忍耐力や長期目標をやり抜く情熱のことだ。(中略)グリットはIQの高さとは関係がないが、性格のビッグファイブにおける「誠実性」と高い関連があった。IQや性格よりも、グリットは成功の可能性を予測する良い指標になりえる。

これは、困難な目標を達成するためには、才能だけではなく、個人の能力を集中して持続できるほうが大事だということを示している。

とのこと。いたずらに天才を目指すよりも、とにかく粘り強く続けることが一番大事なんだ、と。まぁまだエビデンスとしては弱いんですけど、そりゃあ何度も試せば試すほど成功の確率は高くなりそうですもんね。


グリットを高めるには?
では、グリットを高めるにはどうすればいいの?って話ですが、グリットは「意志力」や「セルフコントロール」といった能力と連動しているので、


などで紹介したテクニックが使えるかと思います。また、上記の論文を手がけたアンジェラ・リー・ダックワース博士のTEDトーク(2)によりますと、

これまで聞いた中で、子どものやり抜く力を育てるのに一番よいのは「成長思考」と呼ばれるものです。スタンフォード大学のキャロル・ドウェックが 見出したもので、成功思考とは、学習する能力は固定しておらず、努力によって変えられると信じることです。

とのこと。さらに詳しくは、以下の動画をご参照ください。


この「成長思考の重要性」については、「やってのける」で有名なハイディ・グラント・ハルバーソン博士も推しているポイントでして、

 

つねに「より良いゴール」を目指していれば、絶対に負けることはない。

なにごとにおいても、スキルを学ぶつもりで挑むのが大事だ。そうすれば、ミスや失敗を受け入れる余裕が生まれ、いかなる問題が起きてもモチベーションを保つことができる。

「より良いゴール」を目指す人たち(例:試験を「新しい問題解決のスキルを学ぶチャンス」としてとらえる)は、どんな誘惑にも影響されないしズルもしない。どんなに道のりが困難でも、つねにやる気を高めて上手くやるからだ。

「 Nine Things Successful People Do Differently 」より

 

と強調されておりました。ちなみに、グリットが高い人(≒誠実性も高い)は、成功率が高まるほかにも、太りにくくなったり病気にかかりにくくなったり配偶者の出世率を高めたりと、とにかくいいことだらけ。ぜひとも身につけたい特質の1つでありますなぁ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。