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それで「引き寄せの法則が証明された!」と言われましても…


引き寄せの法則が証明された!?」ってニュースがありまして。



 

元ネタはナショナルジオグラフィックが行った街頭実験で、

 

実験ではまず、道行く人々に対して、自分を幸運だと思うか、不運だと思うかを訊ねた。次にそれぞれに新聞を渡して、10秒以内にこの新聞に載っている写真の数を数えることができたら、20ドルの賞金をプレゼントすると伝える。

驚くべき結果となった。自分を幸運だと思っている人は、不幸だと思っている人に比べて、賞金を獲得する人数が3倍も多かったのだ。


って話らしい。「引き寄せの法則」が嫌いなわたしとしては、さっそくハフィントン・ポストの元記事を読んでみたわけですが…、うーん、どこにも「引き寄せの法則」について書いてない…

 

 

元記事はたんに「ポジティブシンキングは大事だよね〜」と主張してるだけで、「引き寄せ法則」の記述はゼロ。「引き寄せの法則が証明された!」という話は、記事を訳した人の願望だったみたい。トホホ。ついでに、後半に出てくる

 

逆に、自分を不運だと考える人は、人生のあらゆる場面で不運にみまわれるという。ついていないことばかり常に考えてしまうからだそうだ。


って記述も見当たらないんですが、これも訳者さんの願望でしょうか。

 

 

まぁ、そもそも「引き寄せ法則」は「強く望んだとおりのものが手に入る」って考え方なんで、意図しない幸運について調べたこの実験とは別の話。記事中に出てくる「運のいい人の法則」って本にも、「幸運は宇宙の神秘的な力などではない。訓練で身につくスキルだ」ってハッキリ書いてありますしね。

 



ちなみに、このナショナルジオグラフィックの実験だけ見ると、インチキ統計じゃね?って疑問が出てきそうですけど、元ネタであるワイズマン博士の実験はちゃんとしていて面白いです。

 

 

この実験は、「あなたの太りやすさを決める5つの性格」でも紹介した性格のビッグファイブモデル(もっとも科学的に信頼できる性格診断)と幸運の関係を調べたもので、

 

  • 開放性(好奇心の強さ)
  • 外向性(社交的で活動的)


の2つの数値が高いほど幸運になりやすくて、

 

  • 神経症傾向(不安や緊張の感じやすさ)


の数値が高いほど幸運を逃しやすいって傾向が出たそうな。要するに、好奇心が強くて社交的な人ほど交友関係が広くてチャンスが増えるし、逆に不安が大きい人は緊張状態で視野が狭くなってチャンスを逃す確率が高くなるって話らしい。

 

 

さらに余談ですが、ワイズマン博士の近刊「その科学があなたを変える」では、「◯◯のように行動すると、実際にそのとおりに心が変化する」ってテーマが掘り下げられてまして、「引き寄せの法則」好きの方とも相性がいい一冊ではないかと思います。「引き寄せの法則」と違って、科学的な裏づけもありますしね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。