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食欲が止まらない!と思ったら、腸内環境の悪化を疑ってみよう



先日、「腸内環境のせいでうつ病になっちゃうパターン」をメモっておきましたが、ここではさらに腸の細菌が食べ過ぎの原因を引き起こすケースについて。






人間の食欲をは腸内細菌にコントロールされている
というのも、ここ数年、「腸内細菌が飢えると食欲が増す!」って研究が多く出てまして、たとえば2014年の論文(1)によると、


砂糖や脂肪が多い食べ物の誘惑に勝とうとして、ガマンをくり返した経験を持つ人は多いだろう。このような不健康な食事は、肥満や睡眠時の無呼吸、糖尿病、心臓病、ガンなどの原因となる。それにも関わらず、不健康な食生活をあらためるのは難しいことだ。

一般的に、この問題は「セルフコントロール」や「意志力」の観点から語られることが多い。しかし、この論文で、私たちは別の原因を指摘したい。すなわち、腸内細菌が人間の食欲をコントロールしている可能性についてだ。

腸内細菌は、人間の食生活をあやつっている。それは、腸内細菌が自分の身を守るための行動で、私たち人間の健康とは関係がない

昔から「食べ過ぎるのは意志が弱いから!」と思われがちですが、実はメンタルの問題ではなく、腸内細菌が人間の脳をコントロールしているのが原因なんだ、と。しかも、あくまで腸内細菌は自分のために行動するので、宿主である人間に害をなすこともあるわけですね。うーん、恐ろしい。


腸内細菌がチョコを食べたくさせる
この説はめずらしいものではなく、いままでにさまざまな研究で支持されております。たとえば、


  • 別の研究者によれば、普段の食事によって腸内の細菌たちは簡単に変化し、迷走神経をとおして脳にはたらきかけて食欲を大きく変えることがわかった(2013年,2)

  • 2007年の研究によると、「毎日のようにチョコを食べたくなる人は、チョコの誘惑に強い人にくらべて異なる腸内細菌を持っている」とのこと(3

  • 腸内細菌のバランスが悪い患者を調べた研究では、たいはんが食べ過ぎや不健康な食事をやめられずに悩んでいた(2013年,4)

などなど。どうも、腸内細菌は脳の報酬系に命令を出して、もっと砂糖や脂肪を食べたくさせるようにはたらきかけるんだそうな。すごいですねぇ。


腸内細菌と仲良くやろう
そんなわけで、どうしても食欲が止まらない人は、試しに腸内細菌のご機嫌をとってあげるのが吉。2014年の論文(5)によると、


西洋の食生活は、腸内細菌のエサになる炭水化物(MACs)の摂取量が少ない。そのせいで、伝統的な食生活を送る人たちにくらべて腸内細菌の活動が弱くなり、機能も悪化してしまう。

腸内細菌と人間のコミュニケーションが上手くとれないと、免疫系も上手く働かなくなり、慢性炎症など、さまざまな病気を引き起こす。

現代の腸内細菌は十分なご飯をもらってないので、人間にたいして反抗してるわけですね。なんか可愛い。


ちなみに、腸内細菌のご飯としては、


のような難消化性の糖類が定番かと思います。個人的には、イヌリンが手軽に買えてダイエット効果も高いのでオススメ。なんにせよ、腸内細菌とは仲良くやっていきたいもんです。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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