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オックスフォード大学流「性格を変える」3つの方法 |「脳科学は人格を変えられるか?」


「脳科学は人格を変えられるか?」を読みました。原題は「雨降り脳と、晴れ晴れ脳 (Rainy Brain, Sunny Brain)」で、ポジティブな性格とネガティブな性格の違いを脳科学的に解説した一冊であります。

 



 

本書の趣旨はシンプルで、「ポジティブな人とネガティブな人は、脳の情報処理の方法が違うんだよ」というもの。たとえば、キレイな風景や美味そうなお菓子を見た場合、どちらのキャラも同じレベルの幸せを感じるんだけど、ポジティブな人は、脳の左側が活性化してるせいで、その感覚をより長く持ち続けることができるんだそうな。一方で、ネガティブな人は脳の右側の活動が大きいため、幸福感に対してすぐに警戒心や不安感が発動しちゃうらしい。


また、うつ傾向で心配性な人は、前頭前皮質(認知機能をつかさどる)と扁桃体(恐怖感をつかさどる)のつながりが少ないんだとか。その結果、ネガティブな人は、恐怖感やトラウマを上手く対処できなくなっちゃうんだ、と。


要するに、「象を飼い慣らすための指針」でも紹介したとおり、いかに無意識の暴走を意識でコントロールできるかが性格を変えるポイントだということですね。「人生の幸せは、結局『セルフコントロール力』が決める」なんて研究もありましたし。


というわで、性格を変えるためには、認知機能の力をアップさせるのが良いわけですが、そのためにオススメされているのが、

 


の2つ。特にカバットジンの「マインドフルネスストレス低減法」がイチオシされておりました。この本のガイドラインに従って、とりあえず8週間だけ瞑想を続けるだけでも、かなりの効果があるとのこと。わたし自身の経験からいっても非常に納得できる提案であります。

 

 

また、さらにお手軽な手法が、当ブログでも何度か紹介した「三行日記」をアレンジしたバージョン。具体的には、

 

  1. その日にあったネガティブな出来事を1つだけ日記に書く
  2. その日にあったポジティブな出来事を4つ日記に書く


日記の内容は、「コンビニのおにぎりが安かった」とか「電車に乗り遅れた」ぐらいのレベルでOK。 1つのネガティブには4つのポジティブで対抗しないと、人間の脳は前向きにならないらしい。それぐらい無意識の力は強いってことでしょうね。




そんなわけで、「脳科学は人格を変えられるか?」のご紹介でした。基本的には「性格を変える方法」よりも脳の仕組みの解説のほうがメインなんで、実践的なテクニックを求めると期待はずれかも。いかにヒトの人格が原始的な脳に影響されているかを知りたい方は、読んで損のない楽しい一冊だと思います。




具体的な性格改善のテクニックをお求めの方は、 ジョン・カバット・ジン「マインドフルネスストレス低減法」や「うつ・不安障害を治すマインドフルネス―ひとりでできる「自己洞察瞑想療法」」、認知行動療法を試すなら「いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法」などを読むほうがよいかもしれません。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。