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良い習慣を一瞬で崩壊させる「どうにでもなれ効果」を避ける方法


心理学の世界には「どうにでもなれ効果(The What-The-Hell Effect)」って言葉がありまして。ふざけたネーミングですが、ちゃんとした論文にも使われている専門用語であります。




どうにでもなれ効果ってなによ?
例えば、ダイエットでカロリー制限をしているのに、どうしても断れない外食に参加。サラダで済ませようと思っていたのに、つけ合わせのパンを少し食べたとたんにリミッターが外れてしまい、「今日はいいや!ケーキも食べるぞ!」となってしまう現象のこと。超おなじみですね。


「どうにでもなれ効果」は、お金の使い方や倫理観にも関係してまして、

  • 1万円札を10枚の千円札に両替すると、万札を1枚持っていたときよりお金を使いやすくなる。
  • 町中に空き缶が捨ててあるのを見ると、自分も路上にゴミを捨てやすくなる。

なんてケースがあります。この現象が起きやすい場面は、


  1.  短期目標しか持ってないとき:今日は炭水化物を食べないぞ!」みたいな。
  2.  何かを止めようとするとき:「今日は炭水化物を食べないぞ!」みたいな。

の2点。しかも、1つの場面で「どうにでもなれ効果」が起きると、別のシチュエーションでも「どうにでもなれ効果」が起きやすいことがわかっております。ダイエット中にお菓子を食べ過ぎた人は、貯金の目標も破っちゃうみたいな感じですね。



どうにでもなれ効果を避けるには?
USビジネススクールの最新調査によれば、「どうにでもなれ効果」を避けるには、以下の3つを心がけるといいらしい。


  1. 長期目標を作る:「今月は5万円貯金!」じゃなくて「1年で100万円貯金!」にする。
  2. 「止める」目標を「やる」目標に変える: 「今月はムダな金を使わない!」じゃなくて「ムダな金を使わない日を増やす!」に変える。
  3. 失敗から立ち直れた日を数える:いったんムダな金を使ったとしても、また次の日から節約が上手くいったら、それを「1ポイントゲット!」としてカウントしていく。


特に大事なのが3番めで、あくまで「成功した数」ではなく「失敗を修正できた数」に焦点を当てるのがポイント。例えば瞑想の世界では、集中力が持続できたかどうかは問題じゃなくて、いかに気がそれたときに集中力を元にもどすかのほうが大事だと言われますが、それと似た感じ。失敗を修正すればするほど、「どうにでもなれ効果」を避けるトレーニングになるわけですね。これは、わたしも肝に銘じたいところ。


photo credit: Kuntal Gupta via photopin cc
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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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